【全11説】本能寺の変に黒幕はいたのか？明智光秀の単独犯なのか？足利義昭の黒幕が最有力！

本能寺の変の黒幕説のまとめ

本能寺の変の黒幕説解説

豊臣秀吉黒幕説

織田信長の横死により、最も利益を得た秀吉の魂胆だった説

本能寺の変の直後、豊臣秀吉が迅速に「中国大返し」を成功させた点からも、秀吉が事前に本能寺の変を知っていたのではないかという見方があり、この説を裏付ける根拠の一つとされています。

また、秀吉が信長を中国地方への出陣を要請したのも、実は明智光秀の謀反を成立させるための布石であり、秀吉が光秀の行動を裏で支援していた可能性もあるとする説も存在します。

ただし、もし秀吉と光秀が手を結んでいたのであれば、山崎の戦いまでに光秀が「秀吉も謀反に加担している」と諸国の大名に広く触れ回っていた可能性が高く、そのような行動が見られない点からも、この説の信憑性には疑問が残ります。

足利義昭黒幕説

織田信長に京都を追放された恨みを晴らしたかった説

将軍・足利義昭は、織田信長によって京都から追放された後、毛利氏の庇護を受けていました。義昭はかつて「信長包囲網」を築いた人物であり、信長打倒の意思を最も強く持っていた人物でもあります。

さらに、明智光秀は将軍家に仕えていたため縁が深く、義昭とも関係のある人物であったことから、この説が有力ではないかとも言われています。

朝廷黒幕説

朝廷・天皇の権威を取り戻すために、明智光秀を利用した説

織田信長は天下統一を目前にし、朝廷・天皇家すら脅かすほどの権力を手にしようとしていました。そのため、信長という存在に強い危機感を抱いた朝廷が、明智光秀に信長暗殺を実行させたのではないかという説があります。

実際、信長は本能寺の変の約半年前に右大臣を辞任し、朝廷から授けられようとしていた左大臣の職も辞退しています。

これは、信長が朝廷の権威に依存しない独自の権力基盤を築こうとしていたことを示すものであり、関白や征夷大将軍といった既存の役職ではなく、天皇と並び立つような新たな地位を志向していたとする見方の根拠とされています。

さらに、信長は当時の天皇である正親町天皇に対して退位を迫ったとも言われており、信長が天皇をも超越しようとしていると朝廷側が考えたとしても、不思議ではありません。

徳川家康黒幕説

徳川家康が妻と長男を失った恨みを晴らすために明智光秀を唆した説

徳川家康の正室・築山殿と長男・松平信康は、織田信長の命により死に追いやられました。

この出来事に強い恨みを抱いた家康が、信長に対して不満を募らせていた明智光秀と手を組み、信長の暗殺を共謀したのではないかとする説があります。

ただし、本能寺の変直後、家康が命からがら三河へ帰還した「伊賀越え」などの状況を考慮すると、家康が事前に光秀と通じていたとするには無理があるとの指摘もあり、この説には疑問の声も少なくありません。

長宗我部元親黒幕説

長宗我部元親は窮地に追い込まれ光秀を頼った説

長宗我部元親と織田信長は一時、友好関係にありましたが、信長が突如その方針を転換し、四国侵攻の姿勢を見せ始めました。この急変に危機感を抱いた元親が、親交のあった明智光秀を頼り、信長への謀反を促したという説があります。

光秀は長宗我部氏と遠い縁戚関係にあったため、織田家との間を取り持つ役割も担っていました。しかし、信長が元親との融和から一転して敵対方針に切り替えたことで、光秀は面目を失い、信長に強い不満や恨みを抱いたとも言われています。

近衛前久黒幕説

近衛前久は公家の代表として織田信長を排除した説

近衛前久が、革新的な織田信長の存在を疎ましく思っていた朝廷を代表し、明智光秀を利用して謀反へと導いたとするのが、「朝廷黒幕説」の派生にあたる説です。

前久は山崎の戦い後、豊臣秀吉や織田信孝から光秀の謀反に関与したのではないかと疑われ、徳川家康を頼って京都を離れました。

この行動が、近衛前久黒幕説を裏付ける重要な根拠の一つとされています。

毛利輝元黒幕説

毛利輝元が敵対する織田信長を討つために明智光秀を利用した説

毛利輝元は織田信長と敵対関係にあり、豊臣秀吉の軍勢によって領内に侵攻され、備中高松城を攻撃されていました。そのため、密かに明智光秀と手を結び、信長暗殺を計画していたという説があります。

この説は、毛利家の庇護下にあった足利義昭が光秀との間を取り持ったという見方や、実は秀吉も毛利と内通しており、備中高松城での戦いは出来レースだったとする説とも関連づけられています。

本願寺黒幕説

宗教勢力による打倒信長の計画

これは「宗教勢力黒幕説」の一つです。

大坂・石山本願寺の顕如は、織田信長との和睦により大坂から退去しましたが、その子・教如は徹底抗戦の姿勢を崩さず、各地を転々としながら活動を続けていました。この教如が、足利義昭や明智光秀と連携し、本能寺の変を引き起こしたとする説です。

教如が各地で一向一揆を扇動し、信長をたびたび苦しめた事実があることから、この説を裏付ける傍証の一つとされています。

イエズス会黒幕説

宣教師らが、織田信長の姿勢に危機感を抱いた説

織田信長は安土城下でのキリスト教の布教を認め、宣教師を庇護するなど、キリスト教に対して寛容な姿勢を見せていました。

しかし、信長が次第に「ゼウス」すらも超越する「神」のように振る舞うようになったことに対し、危機感を抱いたとする説もあります。

そのため、イエズス会はキリスト教徒であった明智光秀の娘・玉（ガラシャ）との関係を利用し、光秀を唆して信長暗殺を実行させたという説が唱えられています。

千利休黒幕説

千利休が茶の湯を政治に利用されることに危機感を覚えた説

漫画「へうげもの」で展開された説です。

千利休は、自らの美意識である「わび・さび」の芸術を極めることに執念を燃やしており、南蛮風や高麗風の華やかな美を好む織田信長に強い危機感を抱いていました。

やがて信長の存在が「わび」の完成を妨げるだけでなく、茶の湯を政治の道具として利用しようとしていると考え、排除を決意したという説です。

そのため千利休は、豊臣秀吉と手を組み、明智光秀を裏から操って本能寺の変を起こさせたという筋立てになっています。

これは「秀吉黒幕説」の一種とも言える派生説であり、芸術と権力の相克という壮大なテーマを内包しています。

伊賀者黒幕説

織田信長に復讐を果たしたい伊賀者の暗躍による説

小説「信長の二十四時間」で展開された説です。

天正伊賀の乱によって大きな損害を受けた伊賀者の残党が、織田信長への復讐を果たすために暗躍し、信長の革新的な政策によって立場が脅かされていた豊臣秀吉、明智光秀、朝廷、さらには長男・織田信忠までも巻き込んで、本能寺の変を引き起こしたとする説です。

この説の独自性は、信長の周囲にいた誰もが信長を討つ動機を持っていたという状況設定にあります。

最も有力な黒幕説はどれ？

本能寺の変に関する黒幕説の多くは、物語性を重視した創作に基づくものが少なくありません。

しかし、その中でも比較的有力とされているのが「足利義昭黒幕説」です。この説は、プロの歴史研究者の間でも検討の対象とされるほど、一定の説得力を持っています。

事件当時、足利義昭は毛利氏の庇護を受け、備後国（広島県）の鞆の浦に身を寄せていました。したがって、義昭と明智光秀、あるいは毛利氏との間に具体的なルートが存在したことが立証されれば、この説が現実味を帯びる可能性は十分にあります。